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ベクトルの計算
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ベクトル計算のステンシルで、最初のマスター
"VECTOR" を、Visioの図面ページの上にドラッグ・アンド・ドロップします。すると、上の図のようにベクトルの図ができ、図形データのウインドウが開きます。ベクトルの上のテキスト
"A" は、ベクトルの名前です。図形データのウインドウの最初の項目 "Name"
と同じです。この名前は、図形データーのウインドウで変更することができます。ベクトルの長さや角度は
Visio の作図と同様に、マウスでベクトルの始点・終点の位置で調節します。 上の図で、X、YはベクトルのX−成分、Y−成分です。ZはZ−成分ですが、Visioは2次元の作図ソフトですので、ベクトルのZ−成分は常にゼロです。Rはベクトルの長さ、θはベクトルの角度です。
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ベクトルの長さと角度をもっと簡単に正確に指定するには、ベクトルの上で、マウスの右ボタンを押し、「長さ・角度・回転」というメニューをクリックします。 そうすると上の図のようなダイアログが出ますので、"LENGTH"、"ANGLE"と書いてあるマスの中に長さと角度を入れ、[LENGTH]や[ANGLE]ボタンを押します。その下の[TURN]ボタンは、ベクトルを"ANGLE"のマスの中の角度だけ回転させたいときに使います。最後に[CLOSE]ボタンを押してダイアログを閉じます。
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ベクトルの和・差
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二つのベクトルを足したものもベクトルになります。たとえば
C=A+B は、二つのベクトル A と
B を足すと、ベクトル C となることを示しています。引き算も同様になります。たとえば、
B=ーA は、Aの逆方向のベクトルがB
であることを示しています。 C=A−B
は、ベクトル A から ベクトル B
を引いたものが C となることを示しています。ベクトル
A と ベクトル B の逆方向のベクトルとの和が
C である、と考えても良いと思います。 それでは、このステンシルを使って、ベクトルの和の計算をしてみましょう。
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上の図は、最初のベクトルAを描いたところです。長さ30、角度30度のベクトルです。上に説明したように、「長さ・角度・回転」を使いました。
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上の図は2番目のベクトルを描いたところを示します。ベクトルの名前は、図形データの"Name"
という項目で "B" に変更しました。ベクトル
B の長さは 20 、角度は 120度です。
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上の図は、3番目のベクトルを描いたところです。ベクトルの名前を
C に変更しました。 図形データの「Add
Subtract」という欄に、足し算や引き算の式を記入します。今回は
A+B と記入しました。
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ベクトルCの上で、マウスの右ボタンを押して、メニュー「関数の受け入れ」をクリックすると、上の図のように、ベクトルCが変化して、矢印の先端が、ベクトルBの先端と一致します。この図のとおり、C=A+Bとなりました。
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ベクトルCの上で、マウスの右ボタンをクリックし、「関数表示」というメニューをクリックすると、上の図のように、ベクトルCのテキストが、C=A+Bに変わりました。
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上の図のように、ベクトルBを移動すると、ベクトルの始点が一か所に集まります。この方がわかりやすい場合もあるかも知れません。
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力のつり合い
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ベクトルの和の計算では、ベクトルCの「図形データ」の"Add
Subtract" の欄に A+B と書きました。これを
-(A+B) とし、ベクトルCで右クリックし、メニュー「関数の受け入れ」をクリックすると、上の図のようにベクトルCの向きが逆向きになります。このとき、力
A と B と C は釣り合っています。そのことは、以下のようにして証明できます。
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証明するためには、A+B+C
がゼロになることを示せば良いと思います。 ステンシルから、新たに
"VECTOR" を図面ページの上にドラッグ・アンド・ドロップします。そして、このベクトルの「図形データ」の
"Name" 欄で新しいベクトルの名前を
"D" とし、 "Add Subtract"
欄に "A+B+C" という式を記入します。それからベクトル
"D" の上で右クリックし、メニュー「関数の受け入れ」をクリックします。すると、ベクトルDの「図形データ」の
"X"、 "Y" および
"R"欄の値が、すべてゼロになります。同時にベクトルDが、ただの点になってしまいます。すなわち
A+B+C = 0 です。これで、三つの力
A、 B、 C がつり合っていることが証明できました。ベクトルDの上で右クリック(ベクトルが見えないので、文字
"D" を右クリック)して、メニュー{関数表示}をクリックすると、「図形データ」に記入した数式が表示されて、D=A+B+C
となります。
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ベクトルの内積
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二つのベクトルAとBの内積を計算するためには、ステンシルから、「Inner
Product」というマスターを、図面ページの上にドラッグ・アンド・ドロップします。場所は、二つのベクトルの始点が良いでしょう。次に、「図形データ」の"Vector1"
にベクトルの名前 "A"、 "Vector2"
に "B" と記入します。そうしておいて、内積のシェイプの上で、マウスの右ボタンを押し、「ベクトルの内積計算」というメニューをクリックします。そうすると、上の図のようにベクトルが計算され、計算結果が、図形データの
"Inner Product" という欄、および内積ベクトルに付属しているフダに表示されます。このフダはVisio2007のデータグラフィックスです。現在は、ベクトルA
とベクトルB のなす角度が90度のため。ゼロになっています。
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ためしにベクトルBを時計方向に15度回転させてみましょう。ベクトルBの上でマウスの右ボタンを押して、メニュー「長さ・角度・回転」をクリックします。出てきたダイアログの
"ANGLE" 欄に角度 -15 といれて、[TURN]
ボタンを押します。そうすると、上の図のように、ベクトルBが時計方向に15度回転し、内積の値が図のようにゼロでない数に変わります。
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ベクトルの外積
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上の図は、同じ二つのベクトルの外積の計算をしたところです。上の場合と同様に、ステンシルから、「PRODUCT」
というマスターを図面ページの上にドラッグ・アンド・ドロップします。次に図面データの
"Vector1" に "A"、"Vector2"
に "B" と記入し、ベクトルの外積シェイプの上でマウスの右ボタンをクリックし、メニュー「ベクトル外積計算」をクリックします。そうすると、ベクトルAとベクトルBの外積が計算されて、図形データの
"Product" と付属のフダに、外積の計算結果が表示されます。外積の大きさは二つのベクトルが、となり合う2辺となってできる、平行四辺形の面積に等しくなります。この場合は、二つのベクトルの、なす角度は直角ですから、30X20=600となります。ベクトルの外積はベクトルです。その長さは、今計算した値で、向きは、二つのベクトルに垂直、すなわち紙面に垂直なので、X=0、Y=0で、Z=600となります。そのため、図形データのX、YおよびZの欄には、それぞれ、0、0、600が入ります。ベクトル外積のベクトルの向きは、この図の場合は、紙面からこちらに向かう方向です。そのため、ベクトル外積の図形は、右ねじの法則を適用し、反時計方向の回転で表しました。
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上の図は、ベクトルBを時計方向に90度回転させて、ベクトルAにぴったり重なるようにしたものです。二つのベクトルのなす角度はゼロですので、二つのベクトルの作る平行四辺形の面積はゼロです。そのため、図形データとベクトル外積のシェイプに表示された外積の値もゼロになりました。外積のベクトルの長さがゼロですから、ベクトルは、どちらの方向も向いていません。そのため、ベクトル外積のシェイプの回転方向の矢印がついていません。「図形データ」の
"Z"の値もゼロになっています。
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モーメントの計算
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上の図は、モーメントの計算をする図です。モーメントは図のように、アームの一点に
A という力がかかった時の作用のことです。モーメントの大きさは、この図の場合はアームの長さを
L とすると、LXA
です。モーメントも、数学的にはベクトルの外積です。モーメントが違う点は、L
がモーメントの中心からベクトルの始点までの位置ベクトルだという点だけです。上の図では、アームの長さは
100、ベクトル A の長さは 20 です。モーメントの大きさは、100X20
= 2000
です。モーメントの向きは、この場合紙面からこちらに向かう方向です。 モーメントを計算するには、ステンシルから
"MOMENT" というマスターを図面ページの上にドラッグ・アンド・ドロップします。レバーの支点に置きます。それから。図形データの
"Vector1" にベクトルの名前
"A" を入れます。つぎに、モーメントのシェイプの上でマウスの右ボタンを押して、「モーメント計算」というメニューをクリックします。以上で、モーメントの計算が行われ、計算結果が、「図形データ」の
"Moment" という欄と、モーメントに付属のフダに表示されます。
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上の図は、モーメントとベクトルの外積を比較している図です。上側は、前と同じモーメントの計算、下側は、二つのベクトル
C と D の外積です。上側と合わせるため、C
の長さは 100、Dの長さは 20 としました。ベクトルの外積も、モーメントと同じく、2000になっています。下側はCが位置ベクトルだと思えば良いわけですが、思うだけですので、もしも、外積のシェイプをほかの場所に移動しても、外積の値は変わりません。しかし、上側のモーメントの場合、C
に相当するベクトルが、モーメントの中心から、ベクトルAの始点までですので、モーメントのシェイプを違う場所に移動すると、モーメントの値も変わってしまいます。これが、違う点です。実際にモーメントを移動させてみていただくと、よく分かると思います。
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上の図は、レバーのいろいろな点にいろいろな大きさの力が加わった場合の合計モーメントの計算例です。複数の力の合計モーメントを求めるには、「図形データ」の
"Vector1"、"Vector2"、・・・・欄に、力のベクトルの名前を入れて、モーメントを右クリックしたときのメニューで「モーメント計算」をクリックします。このステンシルでは5つの力まで計算できます。モーメントは、紙面に垂直なZ方向のベクトルですので、裏で和・差の計算をしています。
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モーメントのつり合い
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上の図では、モーメントの合計は 95 になっています。この値がゼロの場合、モーメントがつり合っていると言えます。モーメントがつり合うためには、どれかベクトル一つの長さを調節して、モーメントの合計がゼロになるようにします。モーメントのシェイプの上で、マウスを右クリックして「モーメントバランス」というメニューをクリックすると、以下のようなダイアログが出ます。このダイアログで、"VECTER"欄のリストボックスの小さな逆三角形をクリックして開くと、モーメントに関係するベクトルの一覧が出ます。その中から、ベクトルを選んで、[BALANCE]
というボタンを押すと、ベクトルの長さが調節され、合計モーメントがゼロになります。
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下の図は、ベクトル
"A" を選んで、[BALANCE] ボタンを押したときの、ダイアログの状態を示します。最初、ベクトル
"A" の長さは、20でしたが、モーメントのつり合いのために、19.05
となりました。同時に図面ページ上のベクトルA の実際の長さも修正されます。モーメントのつり合いでは、ベクトルの角度は変えずに、選んだベクトルの長さだけが変わります。長さがマイナスの場合は、逆向きになります。
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以下の図は、この方法で、モーメントのつり合いをとった、実例です。
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下の図は、壁に斜めに立て掛けたレバーのモーメントのつり合いです。レバーの下端は床に固定してありますが、自由に回転できるようになっています。ベクトルAは、レバーの重量、ベクトルBは壁からの抗力に相当します。ベクトルBの長さを調節して、レバーの下端におけるモーメントがつり合うようにしました。
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下の図は、レバーの両端に方向も長さも異なるベクトルがあり、レバーの中間に支点を設けた時の、支点におけるモーメントのつり合いです。 ベクトルCは、ベクトルAとベクトルBにつり合うベクトルです。モーメントがつり合っているので、ベクトルAおよびベクトルBをそれぞれベクトルに沿って延長した直線の交わる点は、ベクトルCの直線上にあります。もっと簡潔にいうと、ベクトルA,B、C
の作用線が一点で交わります。
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サンプル図面のダウンロード
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